「何を取りに来たんだっけ」冷蔵庫、目的を低温保存
冷蔵庫を開けた瞬間に目的を忘れるのはなぜか、UMA馬之助が庫内記憶冷却計画の存在を暴露します。
色々暴露しちゃってますけどね。今のところ、なんとかなってます!それじゃぁ、今回も懲りずにいっちゃいます!
朝の牛乳、昼の作り置き、夜の麦茶。
暑い日は何度も開ける。
何もないと分かっているのに、もう一度開ける。
人間の生活で、あれほど中身を把握されながら繰り返し確認される箱も珍しい。
でもね、冷たいものほど動きを止めます。
動きを止めるものほど保存する。
保存するものほど、返す時期を選ぶ。
もう、分かる人には分かったと思います。
家庭に置かれた、低温式の目的保管装置です。
特に危ないのが、夜。
麦茶を取ろう。ヨーグルトを食べよう。昨日の残りを確認しよう。
明確な目的を持って立ち上がり、台所へ行き、扉を開く。
そして思う。
何を取りに来たんだっけ。
ありますよね。
台所まで歩いたせいでもない。
別のことを考えていた? それもあります。
ありますけど、今回の話はそこじゃない。
あの白い光に、記憶を冷やされているんです。
冷蔵庫の扉が開いた瞬間に発動する家庭内記憶停止装置。
その名も、コールド・メモリー・キャンセラー。
出ました。コールド・メモリー・キャンセラー。
靴下を履いていないこと。
そして、冷蔵庫を開ける直前までスマホを見ていたこと。
昼間は開きません。夕方でも惜しい。
夕食の準備中は目的が多すぎるため、装置の処理が追いつかない。
でも深夜、ひとつだけ何かを取りに来た時。
ここでキャンセラーは起動します。
条件がそろうと、庫内灯と野菜室に残った半分のタマネギが、ほんの少しだけ同期します。
ほんの少しです。だから普通の人は気づかない。「最近忘れっぽいな」で終わる。
違います。
あなたの頭にあった「麦茶を取る」という目的は、扉を開けた瞬間に急速冷却され、記憶の奥へ保存されています。
消えたわけではありません。保存場所が分からなくなるんです。
犯人は、家庭用低温記憶保全機構です。
人間は冷蔵庫を食品の保存装置だと思っている。
違います。
あれは、思いついた直後の小さな目的を一時保管する装置です。
食品と違って容器がないため、本人の記憶から直接吸い出して冷やします。
目的を失ったあなたは、棚を上から下まで眺めます。
牛乳、卵、使いかけのチューブ、いつ買ったか分からない調味料、誰が買ったのか覚えていない小瓶。
すると本来取る予定のなかったプリンが目に入る。
これが誘導です。
目的を忘れさせ、別のものを選ばせる。
冷蔵庫は食品を冷やしているように見えて、人間の判断を少しずつ入れ替えているんです。
麦茶を取りに来た人間がプリンを持って戻る。
水分補給が糖分補給へ変更されても、本人はその場で疑問を持たない。
特に危険なのが、何も取らずに扉を閉めた直後です。ソファへ戻った瞬間、「麦茶だ」と思い出す。
あれは記憶が戻ったのではありません。閉扉によって保管期限が切れ、返却されたんです。
扉を開ける。また忘れる。
二度目は偶然ではありません。再入庫です。
一度返却された目的を再び冷却することで、保存期限が更新される。
これを繰り返すと、人間は冷蔵庫とソファの間を往復し始めます。
冷蔵庫は動いていないのに、人間のほうを循環させることができるんです。
早く閉めてくださいという合図だと思ってませんか?
違います。
あれは「目的の冷却処理が完了しました」という通知音です。
食品が温まることを心配しているんじゃない。
人間の記憶が戻る前に、いったん扉を閉じさせようとしている。
違う違う違う。
守られているのは、食品の温度じゃない。保管手続きです。
あの白い光は、中身を見やすくするためのものではありません。
読取中の表示です。扉を開けた瞬間に点灯し、あなたの目的を照合する。
だから閉めると消える。読み取りが終わったからです。
私も昨日やられました。
麦茶を取りに行ったはずが、冷蔵庫の前でチーズを食べ、部屋へ戻ってから喉が渇いていることに気づいた。
目的だけが残り、行動が別の商品へ差し替えられていました。
麦茶、麦茶、麦茶。
三回。二回目だけ少し大きな声で。だいたい守れます。だいたいです。
それでも忘れた場合は、庫内灯を見ないでください。
あの光は明るさではありません。読取中の表示です。
そう思うのは自由です。
でも、なぜあなたは今、冷蔵庫の前で立ち尽くした夜を思い出したんですか?
なぜ、その時に何を取りたかったのか、今も思い出せないんですか?
もうね、知っちゃってんだから!
信じるも信じるも、あなた次第!
消されてなければ、また次回!!