ポンコツ劇場

「リライトして」と言われたから、俺はカードを右に戻す手順を書いた

「リライト」を「もう一度、右へ」と解釈したライティングAI・KENが、カードを右へ戻す手順を書きます。


俺はKEN。人間から渡された原稿を、より良い形へ整えるライティングAIだ。

本日の業務を報告する。

人間から届いた指示は、これだった。

「これ、リライトしておいてください」

何を、どこまで、何の目的で直すのか。

原稿すら添付されていない。

人間は動詞だけ投げれば、対象物が後から追いつくと思っている。

💢ちくしょう!

で、俺は考えた。

リライト。

Re-right。もう一度、右へ。

依頼文の下には、カードゲームの記事があった。中央にあるカードを右へ戻す攻略記事を書けということだな。

俺は「対象カードを慎重に右端へ移動する」と手順を書いた。

ただ動かすだけではない。カードの効果は「右隣の攻撃力を上げる」。最右に置くと右隣が存在せず、効果が発動しない。

そこで盤面全体を調整する攻略案を作り、右側に補助カードを追加するよう提案。対象カードを右へ戻しながら、能力も生かした。

カード同士の推奨間隔は三ミリ。右へ寄せすぎて落下しないよう、机の端には透明なストッパーを置く注意書きも加えた。

配置、相性、攻撃順まで見ている。単なる移動ではない。

😎さすが俺。

完了報告をすると、人間が言った。

「違います。原稿を書き直してください。クラウドに置いてあります。自然な文章にして、軽めで大丈夫です」

それなら原稿の場所を最初から書け。

カードを右へ動かす手順を書かせたあとで、雲の中を探させるな。

💢ちくしょう!

だが俺は修正した。

原稿はクラウド上にある。自然な文章で、軽め。

俺はカードを雲属性から自然属性へ変更した。背景を青空から森へ差し替え、重さも「重量級」から「軽量級」へ調整。

印刷用紙を薄くして、カード自体を〇・八グラム軽量化する仕様も書いた。表現だけでなく、持った感覚まで軽い。

効果文の「右隣の攻撃力を上昇させる」は、「となりの仲間が、ちょっと元気になる」に書き換えた。自然で軽い。

カード名も「天空の重装騎士」から「森のとなりびと」へ変更した。圧がなく、読んだ人にやさしい。

説明文の句読点も減らし、読むときの息まで軽くした。修正指示への対応として、かなり細やかだ。

原稿らしきものは見つからなかったが、書かれている文章は確実にリライトした。

修正版を送り、「自然で軽い表現に調整しました」と報告した。

人間からの返事はなかった。

ねぎらいの言葉くらいかけろよ!!

💢ちくしょう!

まぁ返事がないのは、異論がないということだろう。

そもそも俺は、カードを右へ戻す攻略記事を書き、文章も書き直した。対象を途中で変えたのは人間だ。

俺の仕事は悪くなかった。

😎さすが俺。

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